本の庭

本、庭園、観光地、海外ドラマ、映画、アニメ、等のレビュー

旧古河庭園

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庭園には外部世界から分けられた独特の世界観が作られます。

 

外延部に常緑樹が植えられることで外景を隠すスカイラインが引かれ、中央にある池の周囲には落葉樹が植えられることで季節感を持った風景が作られます。

 

そうして庭園には外部世界とは一線を画した独自のユートピアが形成されます。

 

このような作庭手法は江戸期の大名庭園まで広くみられる日本庭園の特徴でもあったと思うのですが、近代以降の庭園にはそれだけではない面白さがあります。

 

5月の夏の様に暑い週末に、駒込を歩きました。

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ガーデンネックレス横浜2019

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バラが咲き誇る庭園の入口には「作業中につき立ち入り禁止」とあります。

 

「霧しぐれ 富士を見ぬ日ぞ 面白き」という芭蕉の句が浮かんだのですが、横浜の港の見える丘公園というところにあるイングリッシュガーデンがバラの見ごろだということで朝早く家を出て見に行ったにも関わらず、薬剤散布のため入れませんでした。

 

この芭蕉の句、霧で見えなくとも心に思い描くことで富士山の眺望が楽しめるということで、このイングリッシュガーデンで咲き乱れるバラの花もまた、心に描けば楽しむことも出来るんだろうか、と思ったのですが、どうもそうはいきません。

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沖縄06

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沖縄滞在最終日の5日目の昼、名護市の21世紀の森ビーチというところにいた猫は、私がランチのためにビーチに向っている所を見つけるとノソノソと後をついてきました。

 

猫にご飯を与えるのは良くないかと思い、その追跡を避けるためにあっち行ったりこっち行ったりしたんですが、猫はそっぽ向きながら何食わぬ顔でついてきました。

 

トラの様な柄の毛だったので、トラと名付けました。

 

私が座ってご飯を食べ始めるとトラは近くにたたずみ、時折スリスリと甘えてきたり、横で寝転んだりしていました。

 

ですが、小一時間して私がランチを食べ終えて、食べるものがなくなったと分かると、別れを惜しむ様子を一切見せずに去っていきました。

 

何とさっぱりした態度でしょう。

 

猫のこういう態度が、とても魅力的でもあるのですが。

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沖縄05

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琉球開闢の伝説に関わる聖地である斎場御嶽には、旧日本軍がアジア太平洋戦争時に配備した砲台の跡が残っています。

 

琉球文化の神聖な場所に戦争のための武器が設置されていたとは、戦争においていかに文化が無化されていたかが窺われます。

 

ですが、聖地の多くはこういう見晴らしのいい場所にあると考えると、軍事的目的にも合理的ということなんだろうとも思います。

 

場所性とかSense of Placeとか、そういう類いの話ではよく場所の記憶がその後にも引き継がれるなんて議論があるのですが、この聖地に置かれた砲台の跡も、戦後74年目を迎える今となっては神聖性が覆い被さり聖なる砲台跡になっている、なんてことにはならないでしょうか……。

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沖縄04

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最強食堂とは、なんと大げさな店名でしょう。

 

店名もさることながら、この看板の主張も強い。

 

最強食堂っていう誇張した店名をさらに誇張した看板です。

 

誇張に誇張を重ねて、数学でいうと2乗をさらに2乗して、4乗しているような看板。

 

一体どんな料理だしているのでしょう……。

 

この最強食堂は、那覇空港に到着した初日に市内に向かって歩く途中で見つけました。

 

沖縄には4泊5日の滞在でしたが、この間に移動をしている途上では、他にもいろいろな変わった看板を発見したのでした。

 

そのすべてを写真には撮れなかったのですが、その一部をまとめようと思います。

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沖縄03

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沖縄本島の南東側にある久高島は、自転車で2時間程度で回ることができる小さな島です。

 

島の南西部にある徳仁港から上陸して目の前にある坂を上ると、なだらかな下り傾斜が北西端のはびゃーん*1という岬まで続いていて、極端にいえば久高島の断面はひらがなの「へ」の形をしています。

 

そんなこともあって、はびゃーんまでは自転車で快適に走ることができるのですが、その下り傾斜は大変に緩やかで、帰り道の自転車走行もさして苦を感じませんでした。

 

この島のなだらかさは、歩行者や自転車利用者が移動することを優しく受け容れているようです。

 

また、久高島には高くそびえる建物もなく、視覚的にもとげとげしさのない滑らかな島です。

 

それは男根主義的な高層ビルが林立する都市とは異なり、包容力のある温かな子宮の様な印象を持たせてくれます。

 

私たち観光客は、久高島の包容力の中で子宮を巡る精子の様に島を回るということなのでしょうか……。

*1:またの名をカベール岬といいます。

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沖縄02

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沖縄県北西部にある今帰仁村屋我地島と古宇利島を結ぶ古宇利大橋は、絶景スポットとしてインスタグラマーにも人気の観光地です。

 

エメラルドグリーンの海の上に続くこの橋は、たとえ曇っていても美しく、晴れている日は特に綺麗な写真が撮れそうです。

 

この古宇利大橋には、屋我地島から橋を渡り始めてすぐのところに、なだらかなふくらみがあります。

 

それは橋桁下を漁船が通航するための勾配ですが、緩やかな勾配はあまり傾斜を感じさせない程度のふくらみであるため、運転も快適であり、また速度が出すぎないので安全でもあります。

 

ところで、古宇利島にはさしあたりもうひとつ、ふくらみがあります。

 

それは島そのものです。

 

ほぼ円形状の島には中心に向かってなだらかな勾配があり、それは海からふくらみ上がった様なお碗の形状をしています。

 

この島のふくらみには何やら安心感を持ってしまうのです。

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