沖縄06
沖縄滞在最終日の5日目の昼、名護市の21世紀の森ビーチというところにいた猫は、私がランチのためにビーチに向っている所を見つけるとノソノソと後をついてきました。
猫にご飯を与えるのは良くないかと思い、その追跡を避けるためにあっち行ったりこっち行ったりしたんですが、猫はそっぽ向きながら何食わぬ顔でついてきました。
トラの様な柄の毛だったので、トラと名付けました。
私が座ってご飯を食べ始めるとトラは近くにたたずみ、時折スリスリと甘えてきたり、横で寝転んだりしていました。
ですが、小一時間して私がランチを食べ終えて、食べるものがなくなったと分かると、別れを惜しむ様子を一切見せずに去っていきました。
何とさっぱりした態度でしょう。
猫のこういう態度が、とても魅力的でもあるのですが。
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琉球開闢の伝説に関わる聖地である斎場御嶽には、旧日本軍がアジア太平洋戦争時に配備した砲台の跡が残っています。
琉球文化の神聖な場所に戦争のための武器が設置されていたとは、戦争においていかに文化が無化されていたかが窺われます。
ですが、聖地の多くはこういう見晴らしのいい場所にあると考えると、軍事的目的にも合理的ということなんだろうとも思います。
場所性とかSense of Placeとか、そういう類いの話ではよく場所の記憶がその後にも引き継がれるなんて議論があるのですが、この聖地に置かれた砲台の跡も、戦後74年目を迎える今となっては神聖性が覆い被さり聖なる砲台跡になっている、なんてことにはならないでしょうか……。
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沖縄本島の南東側にある久高島は、自転車で2時間程度で回ることができる小さな島です。
島の南西部にある徳仁港から上陸して目の前にある坂を上ると、なだらかな下り傾斜が北西端のはびゃーん*1という岬まで続いていて、極端にいえば久高島の断面はひらがなの「へ」の形をしています。
そんなこともあって、はびゃーんまでは自転車で快適に走ることができるのですが、その下り傾斜は大変に緩やかで、帰り道の自転車走行もさして苦を感じませんでした。
この島のなだらかさは、歩行者や自転車利用者が移動することを優しく受け容れているようです。
また、久高島には高くそびえる建物もなく、視覚的にもとげとげしさのない滑らかな島です。
それは男根主義的な高層ビルが林立する都市とは異なり、包容力のある温かな子宮の様な印象を持たせてくれます。
私たち観光客は、久高島の包容力の中で子宮を巡る精子の様に島を回るということなのでしょうか……。
*1:またの名をカベール岬といいます。
沖縄02
沖縄県北西部にある今帰仁村の屋我地島と古宇利島を結ぶ古宇利大橋は、絶景スポットとしてインスタグラマーにも人気の観光地です。
エメラルドグリーンの海の上に続くこの橋は、たとえ曇っていても美しく、晴れている日は特に綺麗な写真が撮れそうです。
この古宇利大橋には、屋我地島から橋を渡り始めてすぐのところに、なだらかなふくらみがあります。
それは橋桁下を漁船が通航するための勾配ですが、緩やかな勾配はあまり傾斜を感じさせない程度のふくらみであるため、運転も快適であり、また速度が出すぎないので安全でもあります。
ところで、古宇利島にはさしあたりもうひとつ、ふくらみがあります。
それは島そのものです。
ほぼ円形状の島には中心に向かってなだらかな勾配があり、それは海からふくらみ上がった様なお碗の形状をしています。
この島のふくらみには何やら安心感を持ってしまうのです。
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