本の庭

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沖縄06

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沖縄滞在最終日の5日目の昼、名護市の21世紀の森ビーチというところにいた猫は、私がランチのためにビーチに向っている所を見つけるとノソノソと後をついてきました。

 

猫にご飯を与えるのは良くないかと思い、その追跡を避けるためにあっち行ったりこっち行ったりしたんですが、猫はそっぽ向きながら何食わぬ顔でついてきました。

 

トラの様な柄の毛だったので、トラと名付けました。

 

私が座ってご飯を食べ始めるとトラは近くにたたずみ、時折スリスリと甘えてきたり、横で寝転んだりしていました。

 

ですが、小一時間して私がランチを食べ終えて、食べるものがなくなったと分かると、別れを惜しむ様子を一切見せずに去っていきました。

 

何とさっぱりした態度でしょう。

 

猫のこういう態度が、とても魅力的でもあるのですが。

 

さて、この旅行の3つめのテーマは、政治的観光としていました。

 

アクチュアルイシューを観光する、という意図なのですが、2019年2月においてアクチュアルなことといえば、つまり辺野古の県民投票のことです。

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4日目の朝、キャンプシュワブの前を通る直前に、ダンプトラックとすれ違いました。

 

今まさにこのキャンプシュワブから出てきたのか、この日も辺野古の海の埋め立ては進められていた様です。

 

この直後に見た、キャンプシュワブ入口前にあるテント村(写真の道路奥左側)の様子には衝撃を受けました。

 

何に衝撃を受けたのかというと、うまく言葉にはできませんが、このようにして反対の意志を示すために現場に身体を置くことで訴えるものの大きさに、驚きを得ました。

 

ネット上では感情的に色々な言われ方をしながら拡散していったしまうのも、こういった身体の集合の迫力が原点にはあるのだろう、と思われました。

 

それにしても、ネット上のいわゆる情動的なやりとりは見るに堪えません。

 

あのような発散では、まったく何も生み出さないまま、なにも改善しないまま、賛成派も反対派も双方気持ちよくなって(炎上して)、やがて忘れられていくのでしょう。

 

もっと別の身ぶりをとることで、もう少しまともな議論につながるんではないか、と素朴に思います。

 

ところで、冒頭にも書いた通り、沖縄には猫が多いです。とても多い。

 

この島は裏で猫が支配している、なんてことを思いめぐらし始めてしまいそうなほど、とにかく多いのです。

 

この旅行でも、多くの猫に出会いました。その一部をまとめておきたいと思います。

 

まずは2日目の古宇利島からの帰り道、残波岬というところに立ち寄った時のこと、風の強い岬の近くで丸くなる猫がいました。

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最初見た時には生きているのか不安になったのですが、ただ寝ているだけでした。

 

こんな風の強いところで寝なくても、もっといい場所があるのではないかと思いましたが、この岩場の影はあまり風が吹いていないのかもしれません。

 

続いて、3日目の朝に行った久高島は、猫が到る所にいました。

 

1匹目が、全然カメラを見てくれなかった猫です。

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人にまったく関心を示しませんでした。お腹が空いてなかったんだろうと思います。

 

2匹目が、道路わきの草むらに寝ているこちらの猫です。

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まだ小柄の猫です。近寄ると怪訝そうな目でこちらを見てきました。眠いのでしょうか。

 

久高島3匹目が、ランチの時にご飯をせがんで来たこちらの猫です。

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ランチを食べ終わった後に店主に猫のことを尋ねたら、猫はお店で飼っているのでなくてただ居るだけなんだけど、客が食べ物を残したまま食器も放置していってしまうと猫がイスに上って食べてしまって大変だ、と話していました。

 

それなら食器返却はセルフサービスといった掲示をすればいいのにとも思いましたが、いずれにせよ猫は自由気ままに居るだけでした。

 

4日目の早朝に行った浜比嘉島にあるアマミキヨの墓*1にも猫がいました。

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この猫もやたらとついて回って来たのですが、墓のある岩場(ちいさな島になっている)から離れるとついてこなくなりました。

 

お墓を守っているようです。

 

最後に、最終日に名護市21世紀の森ビーチでそっぽ向きながらついてきたトラです。

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どの猫も耳が欠けている(一部切り取られている?)のが印象的でした。

 

おそらく、野良猫が増えないように不妊手術を受けている猫にこういう目印を残しているのではないか、と思いました。

 

というか、実際そうらしいです。

 

ともかく、猫はお腹が空いたら甘えてくるけど、そうでなければ別れを惜しむことなく去っていきます。

 

必要に応じて寄り合って、必要なければ離れていく、それが猫の態度だろうと思いました。

 

最近のSNSは情動的に拡散されて炎上する、ということでしたが、今のSNSに見られるつぶやきのパンデミックに対する有効な態度は、こういった猫のような態度なんだろう、と思いました。

 

情動に煽られてそれに乗じていくのではなく、ただ最低限の必要に応じて寄り合って、必要がなくなれば離れていく。

 

状況を冷めた目で眺めて、一人で考え行動する。

 

こういう猫の様な態度を持っておくことも、示唆してくれることがあると思われました。

 

沖縄を巡る旅行の記録はここで終わります。

 

この沖縄に寄り添うということも、必要以上に何かに加担することはありません。

 

必要に応じて寄り合い、そうでなければ離れる。

 

観光客にできることってそんなもんだろう、とも思います。

*1:「アマミチューの墓」という名称です。