本の庭

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若林奮の雰囲気(「雰囲気のかたち」展@うらわ美術館)

「雰囲気のかたち」展(うらわ美術館、2022年11月15日~2023年1月15日)

雰囲気は視覚的でもなければ聴覚的でも嗅覚的でも触覚的でもなく、おそらく感覚器官を通じて具体的に知覚する対象ではありません。それは明確にというよりも、何となく漂っているように感じられます。それにも関わらず、私たちはこの雰囲気によってしばしば感情を揺さぶられ、雰囲気によって意欲を起こさせられ、雰囲気を欲望し、あるいはそれを意図的に作りだします。

若林奮の作品における主題のひとつは雰囲気です。それらの作品を通して、若林が示した雰囲気の正体を見通してみたいと思います。

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加藤典洋『大きな字で書くこと』

岩波書店、2019年。


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書籍目次

僕の本質

Ⅰ 大きな字で書くこと
 斎藤くん
 大きな字で書くと
 井波律子さんと桑原『論語
 森本さん
 日本という国はオソロシイ
 船曳くん
 父 その1
 父 その2
 父 その3
 父 その4
 父 番外
 多田謡子さん
 橋本治という人
 青山 毅
 中原中也 その1
 中原中也 その2
 中原中也 その3
 ブロックさん
 寺田透先生
 安岡章太郎さん
 はじめての座談会
 カズイスチカ
 久保卓也
 森嶋通夫
 秋野不矩さん
 私のこと その1――バルバロイ
 私のこと その2――東京のおばさん
 私のこと その3――勇気について
 私のこと その4――事故に遭う
 私のこと その5――新しい要素
 私のこと その6――テレビ前夜

Ⅱ 水たまりの大きさで
 イギリスの村上春樹
 「あらーっ」という覚醒
 知らない人の言葉
 フラジャイルな社会の可能性
 大きすぎる本への挨拶
 東京五輪と原爆堂
 憲法九条と「失われた三〇年」
 信用格付と無明
 私の「自己責任論」考
 入院して考えたこと
 助けられて考えること
 もう一人の自分をもつこと

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アライダ・アスマン『想起の文化』

安川晴基訳、岩波書店、2019年。


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書籍目次

忘却、黙殺、想起
第一章 記憶研究の諸問題
第二章 ドイツ人の家族の記憶を作ること
第三章 ドイツの想起の文化の諸問題

ドイツの想起の文化の実践領域
第四章 ドイツの二つの独裁制の想起
第五章 移民社会の中での想起

トランスナショナルな視点
第六章 被害者競争
第七章 トラウマ的過去と付き合うための四つのモデル

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アストリッド・エアル『集合的記憶と想起文化』

山名淳(訳)、水声社、2022年。


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書籍目次

第一章 なぜ「記憶」が問題なのか
第二章 集合的記憶の発明
第三章 記憶
第四章 集合的記憶と想起文化
第五章 メディアと記憶
第六章 集合的記憶のメディアとしての文学
第七章 物語論のカテゴリー

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三村尚央『記憶と人文学』

小鳥遊書房、2021年。


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書籍目次

はじめに 記憶の人文学への門をひらく
第一章  写真と記憶、記憶の写真
第二章  記憶と身体
第三章  記憶と場所
第四章  思い出の品々
第五章  忘却と記憶
第六章  記憶を継承するために
おわりに 記憶の人文学の扉の向こうへ

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ティモシー・モートン『自然なきエコロジー 来たるべき環境哲学に向けて』

篠原雅武(訳)、以文社、2018年。


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書籍目次

序論 エコロジカルな批評の理論に向かって
第一章 環境の言語の技法――「私にはそれが自然でないとは信じられない!」
第二章 ロマン主義と環境的な主体
第三章 自然なきエコロジーを想像する

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